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家入一真の頭の中

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家入一真が不定期に書くポエムやコラムです。
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記事一覧

本棚が開くドア - ブクログの原点と20年

本棚が開くドア - ブクログの原点と20年

個人サービスとして、web本棚サービス・ブクログをリリースしてから、気づけばもう20年が経っていました。25歳当時、一人で開発してたところから途中でペパボ社へ、そして今ではペパボ社からバトンタッチし、ブックオフグループが運営しています。

もう僕自身はサービスから離れてしまっている訳ですが、20周年ということで良い機会だし、開発当時の思いを書いてみたいと思います。ブクログに限らず、僕がプロダクトを

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コモンズ論 - レイヤーで重なり合う居場所

コモンズ論 - レイヤーで重なり合う居場所

この記事は2023年CAMPFIRE Advent Calendar 24日目の記事です。ですが、これを書いている今はすでに大晦日の夜です。まずい。毎年こうだ。今年のnote、今年のうちに。

クリスマス、自分の誕生日、そして大晦日とイベント盛りだくさんな年末なのですが、「良いお年を」なんて言葉を聞くたびに少しだけ寂しい気持ちになるのは何故でしょうね。

「2024年にチャレンジしたいこと」という

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親鸞が好きすぎてAI仏を作った話

親鸞が好きすぎてAI仏を作った話

noteに書こうと思いながら時間が経ってしまった。改めて、振り返りも兼ねてまとめておきます。お悩みにGPT3.5を搭載したメカニカル仏がお答えするサービス、HOTOKE AI を個人的に立ち上げました。

(「メカニカル仏」は電グルオマージュ)

なぜ作ろうと思ったのか去年からGPT3を利用したクラファンジェネレータなどを開発していましたが、この応用でAIカウンセラーが作れないか?なんてことをぼん

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経営者の敗北

経営者の敗北

初めて起業した約20年前から、経営においてずっと大事にしているポリシーがある。それは「辞める仲間は絶対に引き止めない」ということ。たとえそのメンバーが抜けることが、どれだけ会社にとって痛手であったとしても、一言でも「辞める」と明言された場合には決して引き止めない。もちろん交渉もしない。

引き止めるという行為は、覚悟を持って「辞める」と決断したその意志を侮辱することでもあると思う。また、引き止めよ

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クラファンのハードルを下げるべく、AI作成支援を作った話

クラファンのハードルを下げるべく、AI作成支援を作った話

こんにちは。CAMPFIRE代表の家入です。

いや、しれっと上に「10日目の記事です」とか書いてますけど。これ書いてる今、12月21日。10日以上も遅れています。本当にすみません。

という訳で、ようやくです。いつもだったら経営者っぽく、1年の振り返りとか、ビジョンの話とか書くところですが、毎年同じようなことを書いている気もするので今年は趣向を変えてみました。

結論から言うと、OpenAIが提

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カラフルな世界を目指して

カラフルな世界を目指して

この記事は2021年CAMPFIRE Advent Calendarの記事です。初日!昨年はこんな記事を書きました。

改めまして、こんにちは。CAMPFIREで代表をしている家入(@hbkr)です。カニエ・ウェストが ye に改名したので僕も ie にしようと思っています。やばい、後少しで今日が終わる。何を書こう…そうだ。

交換とはなにか突然ですが、実話かどうかは不明ですが僕の好きな話がありま

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2020振り返りと2021これから(と、おすすめの5冊)

2020振り返りと2021これから(と、おすすめの5冊)

あけましておめでとうございます。

毎年、CAMPFIREとして1年のテーマを掲げることにしていまして、昨年2020年のテーマは「選択と集中」でした。2020年以前に立ち上げた様々な新規事業や、買収により増えた事業を整理し、経営資源を集中させ筋肉質な組織にすることが目的でした。そして、その目標はほぼほぼ達せられたと思います。

両利きの経営にもあるように、「探索と深化」といった両利きでの経営を心が

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想い出はモノクローム

想い出はモノクローム

電話が鳴るのは、いつだって、突然だ。11時19分だとか、3時53分だとか、全くもって切りの良くない時間に、脈絡もなく、こちらの都合などお構いなしに、突然けたたましく鳴り響く、当たり前のことだけど、僕はそれをとても暴力的に感じる。電話は苦手だ。大抵の場合、僕は着信を告げるスマホの画面をただただボーッと眺めて、留守番電話に切り替わるのを待つ。そう、いつもなら。

そんな僕なのに、つい出てしまう電話、と

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個をエンパワーするプロダクトとその思想

個をエンパワーするプロダクトとその思想

この記事は2020年CAMPFIRE Advent Calendarの25日目の記事です。ラスト。

こんにちは。CAMPFIREで代表をしている家入(@hbkr)です。最近はめっきりプロダクトの話をしてなかったなと思い、こうしてアドベントカレンダーを書くことにしました。長らく文章を書くことをサボっていたために、構成も文章も荒いですが、読んでいただけましたら幸いです。

プロダクトで思想を伝える今

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コロナによる不安のなか、子育てで悩まれている方へ

コロナによる不安のなか、子育てで悩まれている方へ

起業家のメンタルヘルスについて、この数年、課題意識を持って声を上げてきましたが、コロナにより繋がりが分断され、不安な中でこれからの生き方や働き方を自らの意思で決め、選び取っていかねばならない「誰もが起業家たりうる時代」に、すべての方にオンラインカウンセリングが必要であると、改めて強く感じます。長期化も予想されるこの状況の中で、cotreeとして以下のような取り組みを立ち上げました。

cotree

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「ここにいてよかった」と思える場所を目指して

「ここにいてよかった」と思える場所を目指して

新型肺炎の感染拡大に関して、日本国内において完全に潮目が変わったと認識し、急遽マネジャー陣で今後の対策について議論の上、方針を決定し、全社方針として以下のリリースを出しました。

スタッフ及びそのご家族、ステークホルダーの皆様の安全確保のため、また、周囲への感染拡大防止のため、皆様のご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。

……なんて、固い感じの書き出しでしたが、「会社とはどんな場所である

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すべての別れは一時的なもの

すべての別れは一時的なもの

会社経営、採用やスタートアップ投資、コミュニティづくりなんかをやってると、たくさんの出会いや別れ、タイミングによる縁の無さなどを日々実感する訳だけど、僕は人との付き合いを短期的に考えてないので、別れ自体に対してそんなに悲観的ではない(死別は抜きにして)。5年10年、20年といったスパンでまた再開したり、共に仕事をしたりといったことは、全くもってある。これは歳を重ねて、わかってきたことでもある。

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One of them であること

One of them であること

“自分”という人間を一つのものとして考えるから、自分探しや自己実現なんてものを追い求めてしまう。見せ方なんて気にしてしまう。何者でもない自分、なんて現実を受け入れられず目を背けようとする。”本当の自分”なんて幻想で、あるのは自分という人間の生きてきた時間と状況の変化の積み重ねだけ。

“自分らしさ”みたいなものを内側から描こう描こうとするから、自意識や承認欲求ばかりが肥大化して、破裂しそうになる。

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見えない編み目にフックをかける

見えない編み目にフックをかける

掃除から始める友人の哲学者、苫野一徳さんと対談した時に、こんなことをお話しされていた。「何をやればいいのかわからない、と悩む子には、台所でも良い、部屋でも良い、まずは掃除から始めると良いよ。とアドバイスしています。」と。

また別の友人。お坊さんの松本昭圭さんは、#templemorningという活動を通じて、朝のお寺の掃除メンバーを定期的にツイッターで募集されているのだけど、「人とのつながりを求

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