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小さな火を灯し続けるために。

秋ですね。ぎっくり腰になりました。さて、リリースにもありますように、CAMPFIREの代表取締役をバトンタッチし、ファウンダー会長として新たな一歩を踏み出すことを決意しました。

バトンを渡すのは、これまでも取締役CEOという立場で事業や組織を牽引してきてくれた、信頼のおける心強い仲間、中島真(通称シンさん)になります。

もう7年前でしょうか、リブセンスの取締役を退任したばかりのシンさんに、面識もないのに直接メッセをして「うちへ来ないか」と口説きに行きました。緊張しながらも、資本主義やクラウドファンディングのこれからなどについて熱く語ったような記憶があります。

実はお互い照れ屋

シンさんのCAMPFIREジョイン後も、定期的に我々の隠れ家「赤い部屋」で夜な夜なワインを飲みながら、時には経営や組織の話、時には最近読んだ本の話など、話のネタはつきませんでした。シンさんは経営パートナーでもありつつ、なかなか他者に悩みを相談できない僕にとって、心の内を打ち明けられる数少ない友人の一人でもありました。

その後、髙山さんや藤崎COOといった強力なメンバーも取締役として加わり、今の経営陣が形成されました。

僕自身はこの数年、重点領域である地域戦略に軸足を置いており、日々の実務や意思決定はほぼ移譲できていたため、経営体制の移行はスムーズに進んだと思います(とは言え、僕のルーズなところで振り回すことも多かったと思います、ごめんなさい)


振り返れば、2011年、東日本大震災の直後に創業したCAMPFIREは気がつけば13年が経ちました。創業後に都知事選出馬などで途中退任するも、2016年にまた代表へと復帰し、87億円を超える資金調達を行うなどしながら市場拡大に邁進してきましたが、CAMPFIREはこうしてまた新しいフェーズに入ろうとしています。

まだクラウドファンディングという名称はもちろん、概念もまったく知られていない状況の中で、僕らは「マイクロパトロンプラットフォーム CAMPFIRE」と銘打ってローンチしました。期待感からオープン直後はサーバーがダウンするほどでした。

「まずは年間で1億円の流通を目指します!」ローンチ時のプレスリリースに記した決意です。それが今や、年間で100倍以上、累計で1000億円近くが巡るプラットフォームへと成長してきました。もちろん、僕らが本当の意味で社会的インフラになるためには、まだまだいくつもの桁が足りませんが、「寄付文化の無い日本ではクラウドファンディングなんてうまくいかないよ」なんて言われてきた当時から考えると、とても感慨深いものがあります。

20代前半で最初の起業をした自分自身のこれまでの経験から、これまでに無い市場や世界を作り上げていくということは、10年単位で時間がかかるものだと感じています。時代や社会が変化していく中でここまで来ることが出来たのは、自分たちのビジョンとプロダクト、そして実現したい未来を、他の誰よりも信じ抜き、共に歩んできた仲間たちのおかげです。


14歳で不登校となり、部屋に引きこもり孤独に苛まれていた僕を救ってくれたのがインターネットでした。そんな原体験から、か弱き個人が声を上げられることこそがインターネットが起こした革命の本質だと信じ、これまでペパボやBASE、polca、リバ邸といった様々な会社やプロダクト、居場所を立ち上げてきました。

そして、クラウドファンディングの本質とは、声を上げたくても上げられない個人が、たとえ小さくとも声を上げられること、そしてその声に呼応する形で周囲から共感や応援を集められることにあると思っています。それを「一人でも多く一円でも多く、思いとお金が巡る世界をつくる」というミッションとして掲げ、ここまでやってきました。この思いは創業当初から今も変わることはありません。

私たちは、インターネットの可能性を信じ、誰もが声をあげられるプロダクトを創り続けます。

どんな小さな声であろうと、自由に表現や発信ができるように。
どんな立場の人であろうと、等しく金融にアクセスできるように。

テクノロジーを駆使して、共感や仲間、お金集めを支える新たなインフラになっていく。

そこから生まれる多様な経済圏を、毛細血管のように社会にめぐらすことで、すべての人が自己表現するように生きられる経済を実装します。

CAMPFIRE 2020 ミッションステートメント

人口減少が進み格差が広がる中で、声を上げたくても上げられなくなる人、社会からこぼれ落ちる人はこれからもどんどん増えていきます。そうした中で、僕らがその受け皿・セーフティネットになっていく。個人を中心とした支え合いの経済圏を、日本中の地域やあらゆる産業・カテゴリにおいて形成していくことで、民間から互助の仕組みを作っていく。

これは、僕らCAMPFIREじゃなくとも、いずれ誰かがやる必要があることです。それが政治や行政なのか、NPOなのか、他のスタートアップなのかわかりませんが、想いを信じ抜き、ここまで思いとお金が巡る世界を作ってきた僕らCAMPFIREが一番近いところにいる、一番やるべき場所にいるのだと信じています。


「小さな火を灯す」

2016年に僕が代表に復帰した際にCAMPFIREにつけたコピーです。上述したように、インターネットの本質とは、クラウドファンディングの本質とは、年齢や、実績や、立場や、性別や、国籍や、生まれながらの環境などといった理由で、声を上げたくても上げられない人々が、たとえ小さくとも声を上げられることにこそある、と僕たちは信じています。

SNSでは大きな声、過激な声ばかりが目立ってしまう世の中ですが、今日もまた新しく生まれる小さな声、その今にも消えそうな小さな火を灯し続けること。それこそが、CAMPFIREがプラットフォームとして大切にしてきた価値です。

CAMPFIREも、そして僕自身も、いつまでも心に小さな火を灯す、挑戦者であり続けたい。

僕はファウンダー会長という立場で、引き続き、CAMPFIREの目指す世界の実現に関わっていきます。特に、長野に移住した僕個人としても興味関心の強い、地域における新しい経済圏の創造に引き続き注力していきたいと考えています。日本中の様々な地域を訪ね、その地に根ざして活動される方々の小さな声に耳を傾けながら、CAMPFIREが築くべき未来の姿を探求していきたいと思っています。

そしてそれは、人生のミッションとしても掲げている「居場所をつくり、誰しもが声をあげられる世界をつくる」ことにも繋がっていくはず。きっとね。

最後に、この意思決定に至るまで、そして意思決定をした後も、仲間たちにはたくさんの労力をおかけしました。また、このような大きな決断を快く受け入れ、応援してくれた株主の皆さんにも心から感謝したいと思います。

数年後にこの意思決定が正しかったことを、みんなで飲みながら振り返ることができる日を楽しみにしたいと思っています。

これからも新体制のCAMPFIREをどうぞよろしくお願いします!

またね!

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家入 一真
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